「パリオリンピック報告会」を開催しました

PARIS2024

2024年12月2日、文京キャンパスE館「後藤新平・新渡戸稲造記念講堂」にて、パリオリンピック報告会を開催しました。
これまで多くのオリンピアンを輩出してきた本学ですが、今回で第33回を数えるオリンピックには、レスリング男子フリースタイル74㎏級代表で卒業生の高谷大地さん、男子マラソン代表に同じく卒業生の赤﨑暁さん、サッカー男子代表に現在商学部4年に在籍している関根大輝さんが出場。高谷さんは見事銀メダルを獲得し、赤﨑さんは6位入賞、関根さんはベスト8と、素晴らしい活躍でした。なお、本学における在学生のオリンピック出場は36年ぶりとなります。
本会では高谷さんと赤﨑さんをお招きして、大会時の様子や本学学生たちへのメッセージを頂戴しました。

第1部 オリンピック報告会



フリーアナウンサーの長谷川朋加さん(2014年政経学部法律政治学科卒業)の司会進行でスタートしました。
鈴木昭一学長より「今夏のオリンピックは夢と希望と感動を与えてくれました。特に今回出場された3名の活躍は、本学の学生にとっても大いに刺激となり、努力の道は世界に繋がっているということを身近に感じ取ってくれたと思います。大学としても大変誇りであり、深い敬意と謝意を表すると共に今後もますますのご活躍を祈念いたします」との挨拶がありました。
鈴木学長
長谷川朋加01
また、Jリーグのシーズン中の為残念ながら欠席となった関根大輝さんより、ご参加いただきました方へのメッセージ動画を放映しました。
『オリンピックではスペインに負けてとても悔しい思いをしたので、今後サッカー日本A代表で試合に出て、その想いを晴らしたいです。
引き続き、応援のほどよろしくお願いします。』
関根大輝


「人間的に成長した大学4年間でした」(高谷選手)

高谷大地04

―学生時代についてお聞かせください。


優秀な兄の後輩として入学したので、先輩方には迷惑をかけたくない思いから、下っ端根性というか雑用は何でもしよう、と色々考えていたら体調を崩してしまうこともありました。ただ、先輩方がその想いを受け取ってくださったのか、とても優しかったです。

―寮生活はどうでしたか。


拓殖大学に入学して本当に良かったな、と感じるのは、先輩が後輩の面倒をしっかり見るとい良い環境があり、決して偉ぶらず、練習でも私生活でも分からないことはすぐに教えてくれました。おかげで楽しく過ごすことができ、この寮生活で人間的にも成長し、本当に良い仲間に恵まれました。



「学生時代の経験が今の陸上人生に繋がっています」(赤﨑選手)

赤﨑暁02

―赤﨑選手も寮生活と伺っていますが、いかがでしたでしょうか。


学生時代は陸上競技部の寮で過ごし、当時は西調布にありました。陸上グラウンドを持っていなかったので、地域の公園をお借りしたりしながら練習をしていました。地域の皆さんには本当に応援いただいておりました。
先輩後輩の厳しい上下関係はなく、みんなが仲良く、雰囲気も良かったです。箱根駅伝の4年間は自分自身の内容は良くありませんでしたが、その経験があったからこそ、今の陸上人生に繋がっているなと感じています。

―4年間箱根駅伝で走られていますが、思い出をお聞かせください。


箱根駅伝では4年間走らせて頂きました。良いと思える成績を残すことは出来ず、チームのみんなには迷惑をかけたかなと思っていますが、この悔しい経験が自身の陸上人生に繋がっているので、強くなるためには必要な事だったと今になって強く感じています。

―4年生の時には主将も務められており、走るだけではない、色々な面で気を遣う立場になられたかと思いますが、最後の一年間とそれまでの三年間の違いなどありましたでしょうか。


主将を務めましたが、自分ではそのようなタイプではなかったと思います。ただ、同級生が「赤﨑は走る姿で背中を見せてくれれば、俺たちがサポートするから」と言ってくれていた仲間と過ごせたのは本当に良かったなと感謝しています。チーム一丸となっていましたし、特に4年生が一丸となっていた記憶があります。




五輪報告会01
五輪報告会02



「アニメみたいにワクワクしました」(高谷選手)


―オリンピック内定の心境はいかがでしたでしょうか。


兄(惣亮)は自分にとっては何事もこなす完璧な人ですが、その兄ですらオリンピックでなかなか勝てないのか、と思いました。また、様々な選手を見ている中で、技だけではなく身体作りも大事であることに気づきました。なので一度オリンピックへの想いを置き、身体づくりや技術的な課題を一つひとつクリアした結果、オリンピックというものを改めて意識しました。そしてオリンピック出場が内定した時には、これは夢かなと思ったくらい嬉しかったです。

―大会当日の心境をお聞かせください。

高谷大地02
今までやってきたことの成果確認をしたいという気持ちと、あとは一生に一度あるかないかの貴重な機会なのだから楽しもうという気持ちがありました。
もちろん事前に対戦相手の動画を見て研究していました。米満達弘コーチ(2009年拓殖大学卒業、2012年ロンドン大会金メダリスト)と相談しながら試合に臨みました。
準決勝で当たった選手は2023年の世界選手権で負けた相手であり、兄も戦っていた相手であった強いアメリカ選手とのリベンジマッチでした。私はこの試合が一番の勝負所と思っていましたし、相手も同様に思ってくれており、アニメみたいにワクワクしました。
準決勝の試合前は一度すべての試合を終えるまで時間を空けてからのスタートでした。会場は凄い音量の音楽で観客が盛り上がり、米満コーチと「こんな舞台で戦えるなんて最高ですね!」と話していました。しかし、いざ試合直前になると会場が揺れるほどのUSAコール一色に。身体が動かなくなりました。警戒していた技にもうまく反応ができず、ポイントを取られていき、これはもう無理かなと思ってしまいました。しかし日本語で「頑張れ」という応援が聞こえたときに、泣きそうなくらいに嬉しくてこれはもう行くしかない!という気持ちに切り替わり、身体も動くようになりました。それからは日本もアメリカもたたえ合うような声援が飛び交い、結果として勝利できました。
翌日の決勝戦前になって周りに金メダルを期待され、プレッシャーに感じてしまいました。決勝戦でボロ負けしたのはとても悔しい思いをしましたが、自分らしいなとも思い、振り返ると全ての試合が良い思い出です。関わってくれた方には本当に感謝しかありません。
高谷大地01©フォート・キシモト

「楽しかったなと思えたので、手を上げてゴールしました」(赤﨑選手)

―オリンピック内定時の気持ちはいかがでしたでしょうか。


マラソングランドチャンピオンシップで上位2位までが内定であることは理解していましたが、メダル授与する方に思わず「この成績って本当に代表ですよね?」と確認してしまいました。「はい、そうです。」と言われてから実感できたのを覚えています。

―大会当日の心境をお聞かせください。


赤﨑暁01©フォート・キシモト
私が持っているタイムは、スタートリストを確認しても下から数えた方が早いんじゃないかと思うほどだったので、勝てるわけがないと思いながらも、自分で勝ち取ったオリンピック出場権だからこそやれることをきっちりとやろう、という気持ちで試合に臨みました。
スタートラインに立った時は「あと2時間10分後には遊べるな」と思っていました。パリのクロワッサンが食べたかったんです。というのも期待されていなかったといこともあったので、楽しもうという気持ちでした。15kmから坂が始まり、前に出て、いつの間にか先頭に立っていて、最後に一人抜かれて6位になってしまったのですが、ゴール付近ではとても楽しかったなと思えたので、手を上げてゴールしました。

―きつい時間帯にネガティブな感情が沸かなかったのでしょうか。


35km地点で2位集団から離れてしまったときにはきつかったのですが、ちょうど良い間隔で前の集団がいたので、そのペースに付いていくことに集中して乗り切ることができました。代表に内定してから坂練習に懸けてずっとやってきたので、その地道な努力が自己ベストの更新と6位という結果として実ったのではないかなと思っています。




「身体が動く限り、試合を大切にして戦っていきたい」(高谷選手)


―今後の展望や後輩たちへのメッセージについてお願いします。


身体が動く限り、一年一年の試合を大事に戦っていきます。また、レスリングのみではなくスポーツ全般、自分の経験を回りの人たちに伝えていく活動をしていきたいと考えています。特に後輩たちには、「失敗はない」と言いたいです。負けても膝をつくことなく、立ち上がること。挑戦した結果に対して、どうやっていくべきか考えて努力してほしいです。



「まずは、タイムを意識したい。」(赤﨑選手)


―今後の展望や後輩たちへのメッセージについてお願いします。


今後の目標としては、世界陸上というよりはまずは目の前のことにしっかり取り組んで行きたいです。まずはタイムです。春頃に行われるどこかしらのマラソン大会で良いタイム狙って参加したいですね。
後輩たちには、足元を見失わずに地道に努力してほしいと思っています。母校が箱根駅伝に出場していないのは寂しいので、まずはしっかり予選会突破から頑張ってほしいです。




長谷川朋加02
高谷大地03
赤﨑暁03
五輪報告会03





第2部 懇親会



報告会に続き、9階展望ラウンジにて報奨金授与式が開催され、オリンピアンに対して拓殖大学、拓殖大学学友会および拓殖大学後援会より、祝い金が贈られました。
その後、拓殖大学岡戸巧理事長より、「改めて、出場された高谷さん、赤﨑さん、パリでの大活躍おめでとうございます。拓殖大学には卒業生の団体、学友会があり、海外でも多くの支部をもっていますが、お二人はまさに世界で活躍するふたりの卒業生の方たちであると思います。今後の活躍に期待したいと思います。」と挨拶がありました。
引き続き、拓殖大学学友会吉村洋治副会長の乾杯の発声で懇親会がスタート。
懇親会では、高谷大地選手と赤﨑暁選手を囲み写真撮影や参加者同士が交流を深め、盛会のうちに終了しました。

懇親会01
懇親会03
懇親会07
懇親会06
懇親会08
懇親会04

高谷顔
高谷 大地 選手(2017年政経学部卒業)
京都府出身でレスリングを始めたキッカケは、一番上の兄の影響により「網野レスリング教室」に入会。下の兄は、現在拓殖大学レスリング部の監督で過去3大会のオリンピックにも出場した高谷惣亮さん。京都府立網野高校に進学後、インターハイで優勝。高校卒業後の2013年に拓殖大学政経学部経済学科に入学。大学時代には、65㎏級で全日本選抜選手権やJOCジュニアの部で優勝、全日本選手権、世界選手権でも活躍した。
2017年3月、自衛隊体育学校に進み、2018年にアジア選手権とアジア大会でともに銀メダルを獲得。2019年から74kg級へ階級を変え、全日本選手権、アジア選手権、世界選手権出場とこれまで多くの大会で活躍。

赤﨑顔
赤﨑 暁 選手(2020年商学部卒業)

熊本県出身。1924年のパリ大会まで3回のオリンピックに出場し、箱根駅伝の創設に尽力した「日本マラソンの父」といわれる金栗四三さんの出身で、赤﨑選手は、その金栗四三さん以来、ちょうど100年ぶりの熊本出身のマラソン代表選手となった。
開新高校に進学後に本格的に陸上競技をスタート。2016年に拓殖大学商学部経営学科に入学後、4年間箱根駅伝に出場し、また4年次には主将を務めた。2020年3月、大学卒業後、実業団・九電工に所属。ニューイヤー駅伝など各大会において活躍している。

関根顔
関根 大輝 選手(商学部4年)

静岡学園高校から2021年に本学商学部経営学科へ進学。サッカー部での活躍もあり、大学に在学しながらこの4月よりJリーグの柏レイソルに所属。昨年にはアジアカップ、今夏のU23の日本代表としてオリンピックに出場した。その活躍が評価され、11月には、ワールドカップアジア最終予選の日本代表(A代表)に選出されるという快挙を成し遂げた。


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